昨年11月7日~14日、大阪社会保障推進協議会(大阪社保協)主催のフランス・パリ社会保障視察に行ってきました。
今月号は報告記(その2)『フランスの医療制度と小児病院、高齢者医療施設の見学』です。
全国被用者疾病金庫(健康保険組合)の担当者は、フランスの医療保険制度は世界で一番いいと自慢していました。
自身が心臓病で心臓バイパスの手術を受けたが、3日間の入院で仕事に復帰できたと。
自己負担は日本と同様に3割負担だが、民間保険などで多くの人は1割負担となっており、しかも成人に多い慢性疾患30種類については、自己負担はゼロ。
がん患者の医療費は無料だ。
また、低収入の人は保険ではなく、税金で大体医療費は無料にしている。
お金がなければかかりたくてもかかれない日本から見ればうらやましい限りである。
しかしそれは、国民の闘いで勝ち取ってきたものなのである。
自分たちの利益を守るためには、デモやストは毎日のように行われているのがフランスである。
とはいえ、疾病保険は赤字となり現在黒字転化のために、いろいろな改革が行われている。
その一つが、かかりつけ医制度で、2005年から実施されている。
かかりつけ医の紹介で専門医にかかるという、ドクター・ショッピングによる医療費の無駄使いを避けるための工夫だが、イギリスと違って紹介状なしでも専門医を受診できるという柔軟なものだ。
ただし例外(小児科・眼科など)を除き、紹介状なしの専門医受診は自己負担が7割になるが。
フランス最大の小児病院を見学。
案内してくれたエドガー教授は大変な親日家だった。
441床の入院ベットに540人のドクターというからうらやましい限り。
大阪の子供は朝食を食べていますか?などと身近な問題にも関心を示す。
気になる経営問題もクリアしているとのこと。
ちょっとした衝撃だったのは、26週未満の新生児には蘇生措置を施さないこと(日本ではすべて蘇生措置をしていると思う)、これは無事に育つ確率が少ないからだそうだが、フランスに限らずヨーロッパでは同様のようだ。
ここは、居住施設と入院施設、外来部門、また在宅医療も実施している高齢者の総合医療施設だ。
日本で言えば、東京都の東京都老人総合研究所・東京都健康長寿医療センターにあたる。
それがパリの20区に1つずつあるという。
居住施設が病院に併設しているところがうらやましい。
外来も1日がかりと時間がかかるが、内科的診断、運動能力・認知能力の評価、うつ傾向の把握など総合的な評価がなされ、治療・介護方針が決定されている。
茨木診療所 所長
安達 克郎
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