今月は、2006年に続く大流行を起こしているノロウイルス感染症を取り上げました。
新聞やテレビでも報道されているように、ノロウイルスは非常に感染力が強く、また他の感染性胃腸炎と違う特別な対策が必要です。
ノロウイルスは、主に冬に胃腸炎を起こす、1968年に同定された比較的新しいウイルスです。
潜伏期間は1~2日で、嘔吐から始まり、腹痛・下痢の症状を引き起こします。
発熱する割合は20%と低いです。
感染力が強く100個くらいのウイルスで症状を起こします。
ウイルスに汚染された食べ物(主にカキや貝類)を食べても起こるし、感染者の糞便を介して人から人へもうつります。
特徴的なことは、吐物や便などが乾燥したものから飛沫感染も生じることです。
したがって、その処理には特別な処理が必要です。
熱には弱く、85℃以上1分間の煮沸で死滅します。
しかし、通常の消毒剤(逆性石鹸やアルコール)では効果がなく、次亜塩素酸(ミルトン、ハイター)が有効ですが、その使用の際にはマスクや手袋などの着用が勧められます。
手指や食品などを介してウイルスが口に入ることで感染することがほとんどです。
① 手洗いの徹底
帰宅時、トイレの後、調理の前後、食事の前に石けんを十分泡立てて、流水で手を洗いましょう。
食品を扱う方は下痢やおう吐などの症状があるときは食品の取り扱いを控えます。
② 患者の嘔吐物や排せつ物は適切に処理する
作業時はビニール手袋やマスクを使用し、処理したものは密封して捨てましょう。
嘔吐物や排せつ物は、ペーパータオルでふき取った後、次亜塩素酸ナトリウム(家庭用漂白剤など)を浸した布で水ぶきしましょう。
処理中はもちろん終わった後も換気をしてウイルスが残らないように注意しましょう。(消毒液の作り方は下の図を参考にしてください)
③ 二枚貝などは、十分に加熱する
新鮮なものでもウイルスに汚染されていれば感染します。
加熱して食べる食品は中心温度85℃以上1分間以上が目安です。
診断は、糞便から迅速診断キットを使って調べることができるようになりました。
かかった時に大切なことは、嘔吐が止まるまでは飲水も控えることです。
数時間くらいは体の防御反応として嘔吐がみられます。
嘔吐がおさまったかどうかはスプーン1杯の水を飲ませて反応を見ます。
まずは水分・塩分補給から開始し、消化のいいおかゆ・うどんなど、でんぷん質のものから食べさせましょう。
①便や嘔吐物が付着した床、衣類、トイレなど
→0.1%の消毒液 キャップ2杯+水500ml
②おもちゃ、食券など
→0.02%の消毒液 キャップ2杯+水2000ml
人間は煩悩、欲をいっぱい持って、日々を生きている。
命が終わる迄、欲は続く。
ところで仏陀は人間の欲をどう捉えていたか。
仏陀は、欲は否定も肯定もしないのか良い、と説いた。
『欲を否定する考えをつき進むと禁欲主義に行きつく。これは一つの極端である。欲を肯定していけば、快楽主義となり結果的に破滅に向かう。もう一方の極端である。人間の欲が、節度を失い、極端に走ったときに悪い欲になる』
《食べるも飲むも腹八分》
食欲か良い例だ。
食欲自体は悪い欲ではない。
満腹食べないと食べた気がしない、は悪い欲だ。
『過ぎない、控える』ということの大切さを教えているお釈迦さんに従えば、正月にたらふく食べたり飲んだりした人は、そろそろ、食べるも飲むも腹八分に戻り、食欲と正しくつきあい、今年一年健康に過していきましょう。
茨木診療所 所長
安達 克郎
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