アルツハイマー型の場合が、物忘れがとくに顕著です。
初期の場合、本人自身も物忘れの自覚があり、自分の中でおかしなことが起こっていることに対する不安と同時にそれを認めたくない気持ちもあり、周囲からの指摘や叱責には過剰に反応しがちとなります。
「叱らない、面倒がらない、能力以上の要求をしない」
初期のころは、次のような工夫をしましょう。
・メモを書いて貼っておく。
・規則正しい生活パターンをつくっていく。
・物の置き場所も決めて貼っておく。
・食後の後かたづけはしばらくしないで、「食べたあと」を記憶にとどめやすくする。
・何度も同じことを言われる場合は、同じ答えを何度でも答えてかまわない。
さりげなくお茶に誘ったり、別のことに気持ちを向けるのも有効。
中期になると、物忘れが強くなります。
・規則正しい生活パターンを作り、時間割に合わせた生活を送ると安心しやすい。
・「叱られた」「馬鹿にされた」、「脅された」などの悪い感情は残るので、できるだけ穏やかに、にこやかに言葉をかけて、よい気分を残すようにします。
・食べていないと言い張るとき、「今食べたでしょう」と言っても本人の記憶がないので、「今準備をしているから、お茶でも飲んで待っていて」などと気をそらしたりしましょう。
重度になると物事への関心が薄くなります。周囲の方が必要を察して介護することが大切です。
・「気持ちいい」「おいしい」はいつまでも残る感情です。
・話すことがなければ手を握ったり、にこにこしていることを心がけます。
「今がいつか(時間)」や「ここがどこか(場所)」がわからなくなる状態です。
時間の見当識
・カレンダーで、「今日は何月何日何曜日」を一緒に確認して、○を付ける。
・日付・曜日・午前・午後の入ったデジタル時計を使用する。
場所の見当識
・転居、改築、入所、入院などの際に混乱が起こります。
家具などのおなじみのものを持っていく、頻繁に見舞いに行くなどしましょう。
人の見当識
進行すると家族の見分けもできなくなります。
・「今はすこしわからなくなっているのだ」と冷静に受け止め、強く否定したり、馬鹿にされているという感情を抱かせたりしないよう穏やかに接しましょう。
物や人の名前が出てこなかったり、簡単な話も理解できなくなったりします。
・一度にたくさんのことを言わない。
・目を見ながら、短くゆっくり話す。
・言葉のまちがいをいちいち訂正しない。
計算ができなくなったり、必要のないものを購入したり、何かの契約をしたりします。
・最低限のお金のみ持たせる。
・小銭を出さずに済むように千円札を持たせる。
・よく行く店には事情を話しておく。
・公的支援や制度の利用・・・日常生活自立支援事業や成年後見人制度があります。
道に迷いやすいからといって外出を控える必要はありません。
・連絡先や帰宅手段を書いたカードを持たせる。
・GPSつきの器具や携帯を利用する
・家の中でも表示板をつける。「便所」など。
認知症を抱える家族の方は、日々大変な思いで過ごされていると思います。
同じことを何回も言われたり、いらいらすることも多いです。
できるだけ共感的な態度で接することができるよう、いろいろ学びながら工夫していきましょう。
茨木診療所 所長
安達 克郎
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