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茨木市元町のクリニック。茨木診療所です。

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ドクター安達のおたよりSeries

認知症への対処

(5)認知症の治療

(1) 認知症の治療:薬物療法 アリセプト、レミニール、イクセロンパッチ

2012年4月以降4剤が保険診療で使えます。
認知機能をよくしたり、悪くなるスピードを遅らせることが期待できます。

アルツハイマー病では、アセチルコリンという神経伝達物質が少なくなります。
そこでアセチルコリンを分解する酵素の働きを阻害して結果的にアセチルコリンを増加させる薬剤(コリンエステラーゼ阻害薬)が開発されました。

アリセプト、レミニール、イクセロンパッチ(貼りぐすり)の3剤あり、どれか1剤を使用します。
いずれも初期量から初めて効果と副作用を観察しながら、治療量に増量していきます。

くすりが効いてくると、機嫌がいい、にこにこしている、まわりに気がつく、知的機能が改善、自発性が向上、会話量が増加、などが見られます。
くすりが過量のときは、いらいらする、怒りっぽくなる、落ち着きがない、余計なことを気にする、余計なことをする、などが見られます。

アリセプトの主の副作用は吐き気・食思不振・怒りっぽくなる、レミニールの副作用は吐き気です。
この2剤で副作用が出る人はイクセロンパッチを使います。
かぶれやすいので貼る場所を変え、かぶれに軟膏を塗っておきます。

メマンチン

メマンチンは上記3剤とは作用機序が違うので、単独でも上記3剤と併用でも使えます。
怒りっぽい人、興奮しやすい人にはファーストチョイスです。
服用により、活発になる、明るくなる、意欲がでる、理解力が改善するなどコリンエステラーゼ阻害薬と同様の効果が見られる患者さんがいます。

通常、コリンエステラーゼ阻害薬の中から1剤を長期に服用します。
そして症状が進行して中期になった場合にメマンチンを追加するというケースが多いようです。

効果がはっきり見られない場合もありますが、進行を遅らせる作用はあるのでこれらのクスリは服用することをお勧めします。

(2)認知症の治療:非薬物療法

薬を使わない治療もさまざまなものが開発されています。

具体的には、回想法、リアリティ・オリエンテーション、音楽療法、理学療法(筋力強化、バランス訓練、関節可動域訓練)、作業療法(家事・家庭内役割作業、手工芸・工作)、レクレーション療法、園芸療法、演芸療法、社会心理療法、ダンス、散歩、各種体操(ラジオ体操、リズム体操、民謡体操、ストレッチ体操)化粧療法、アニマルセラピーなどがあります。

回想法は昔の出来事を思い出して語ってもらって、落ち着きや充足感を得てもらう。
リアリティ・オリエンテーションは「今日は〇月〇日」「ここは〇〇」などの情報を積極的に提供して、時間や場所の意識を高めるものです。

認知症に対する非薬物的療法の目的としては、

第1に生活の中で活動性を高め、規則正しい生活を行うことによって睡眠障害や問題行動を改善すること。
身体活動は精神活動に影響を与えると言われています。
寝てばかりいては、精神機能の低下をきたし、認知症が進行することがありますが、適度の運動によりこの精神活動の低下を防ぐことも可能です。
昼夜が逆転し、昼間寝てばかりいる認知症高齢者では、運動により昼間起きている時間が増え、それとともに不眠、夜間せん妄も減少していきます。

第2としては、さまざまな活動を通して、楽しい時間、感情体験をすることで、不安が軽減したり、イライラ感が減少したり、歩きまわる行動が減少したりします。

第3としては、さまざまな活動を通して、コミュニケーション能力を促進します。
ゲームや作業、創作活動を通じてふだんの生活にはない感情の動き、心の動きを体験でき、自分自身の現在を表現し、他の人々とよく交流することができるようになります。
また認知症高齢者の精神機能を活発化させ、自発性、集中力や意欲面を向上させるのに効果があります。

第4としては、言葉によるコミュニケーションが障害されていることが多い認知症高齢者で、活動を通じた表現により、介護する側が直接にその人の心のありようを理解することができる場合があります。


茨木診療所 所長
安達 克郎


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